金銭問題

2021年10月13日

第1742回

金銭問題

 

 山本伸一が別室に引き上げて間もなく、婦人部長の清原かつがやって来た。

 「先生……」

 清原は言いにくそうに、伸一に告げた。

 「実は、ユキコ・ギルモアさんたちが、これから、私たちに食事をご馳走しようとして、みんなから一ドルずつ、お金を集めたということなんですが……」

 清原の話を聞くと、伸一は顔を曇らせた。

 「それはいけない!」

 彼は、ユキコ・ギルモアを呼んだ。そして、諄々と指導した。

 「あなたたちの気持ちは嬉しいし、ありがたい。しかし、皆、生活も大変なはずです。私たちのことで、みんなに余計な負担をかけるようなことをしてはならないし、そんな必要はありません。また、私に食事を振る舞うために、お金を集めることにしたと言われれば、たとえ不本意であっても、従わざるをえない雰囲気がつくられてしまいます。そうなれば、みんなの意思とはいっても、半ば強制のようになり、それによって、学会に不信をいだく人もいるかもしれない。発意は真心であっても、結果としては、みんなの信心を混乱させることになりかねません。

 ですから、幹部は、会員から不用意にお金を集めるようなことは慎まなければなりません。学会では、お金の扱いについては、神経質なぐらい厳格にしているんです。厳しいことをいうようですが、集めたお金は、あなたから、一人ひとりに訳を説明して、丁重にお返ししてください」

 ギルモアは、最初は、伸一の指摘に戸惑いを覚えたようであったが、申し訳なさそうに、「わかりました」と言って、部屋を出ていった。

 彼女の善意から発した行為であることは、伸一にもよくわかった。それだけに、みんなに頭を下げて、お金を返すことを思うと、かわいそうな気もした。しかし、地区部長として組織を運営していくには、学会の金銭の取り扱いの厳格さを身につけなければ、いつか、金銭の問題で失敗しないとも限らない。それは、同志を思うがゆえの慈愛の指導であった。

 

<新・人間革命> 第1巻 新世界 130頁~131頁

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