本迹

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2022年2月4日

第1891回

全てに『本迹』あり

 

<「百六箇抄」>

 

 「百六箇抄」の最後の付文である「立つ浪・吹く風・万物に就いて本迹を分け勝劣を弁ず可きなり」(御書八六九㌻)の箇所では、伸一はこう語った。

 「立つ波、吹く風、いっさいの現象について、本迹、勝劣を立て分けていきなさいという御文です。つまり、私たちの人生にも、生活にも、全部、『本迹』がある。それを、きちっと見極め、立て分けていかねばならない。

 たとえば、眠っている時は『迹』、起きている時は『本』。勉学が本分である学生が、遊びに、ふけっているのは『迹』、勉学に打ち込んでいるのは『本』といえる。

 また、勉強しているといっても、立身出世のための勉強であれば、心は自分中心であり、世間に流された『迹』の生き方です。しかし、学生部員として、広布のために力をつけようと、使命感を奥底にもっての勉強であれば『本』です。

 ともあれ、根本的にいえば、私たちの本地は、広宣流布のために出現した地涌の菩薩であり、ゆえに、広宣流布に生き抜く人生こそが『本』となる。

 一方、諸君が将来、社会的な地位や立場がどんなに立派になったとしても、それは『迹』です。この一点を見誤ってはならない。

 諸君も、やがて社会人となり、世間の荒波に揉まれることになるだろう。思うように学会活動ができない時もあるかもしれない。しかし、そこにも、『本迹』はある。どんな状況になっても、広布の使命を果たし抜こうとの決意があれば『本』です。環境に負け、信心を失って、使命を忘れてしまうならば、『迹』になる。

 『本』と『迹』は、ある意味で、ほんのわずかな差といえるし、一念の問題だけに、外からはわからないこともある。しかし、仏法の眼で見れば、すべては明らかであるし、天地雲泥の差となる。

 『本迹』を個人の一念に要約していえば、『本』とは原点であり、広宣流布への一念です。また、前進、挑戦の心です。『迹』とは惰性であり、妥協、後退です。

 自分は今、広布のために、人間革命のために生きているのか、一念は定まっているのか──それを見極めていくことが、私たちにとって、『本迹』を立て分けていくということになるし、その人が最後の勝利者になっていく。ゆえに、『本迹』といっても、この瞬間瞬間が勝負であり、自分のいる現実が仏道修行の道場となる」

 この「本迹」についての伸一の講義は、受講生の心に深く刻まれ、その後の生き方の大きな支えとなっていったようだ。

 

<新・人間革命> 第8巻 宝剣 148頁~149頁

 

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2022年2月2日

第1889回

「事実」と「理論」の関係

 

<「理論」優先の教条主義に陥るな!>

 

 伸一は、京大生への講義では、まだ、教学の基本も身についていないメンバーに、できるかぎり、かみ砕いて語っていった。

 そして、「百六箇抄」が日蓮大聖人の仏法と釈尊の仏法の「本迹」「勝劣」が厳しく判別されている御書であることから、「本」と「迹」の立て分けを、あらゆる角度から論じ、人間の生き方に即して展開していったのである。

人生の根本は何か──ここに、彼の講義の最大のポイントがあった。

 中国の天台大師は、この「本迹」について、「本」を「天の月」とし、「迹」を月の影である「池の月」に譬え、「本」は勝れ、「迹」は劣るとしている。「本」とは本体を意味する。一方、「迹」とは本体の影、または跡を指す。事実から理論が生まれてくるように、「本」があっての「迹」である。

 伸一は、ある日の講義では、この問題を、事実と理論の関係を通して、わかりやすく丁寧に語っていった。

 「理論は一つの物差しです。だから、理論は事実を説明する規範にはなるが、そのすべてではない。たとえば、現実の人間の生命活動を見ても、瞬間、瞬間、変化です。その変化してやまない本体が生命の事実の姿です。

 一方、この事実から抽出され、普遍化されたものが理論です。そこで、大事なのは、事実と理論を見極める鋭い目をもつとともに、どこまでも現実の大地に立脚していくことです。

 その根本は、『生命』です。現実に生きている『人間』です。理論やイデオロギーを絶対視して教条主義に陥り、かえって、現実の人間を抑圧した例は、歴史上、枚挙にいとまがない。若き知性の諸君は、この不幸の歴史を変えてもらいたいんです

 

<新・人間革命> 第8巻 宝剣 146頁~147頁

 

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